第272章

丹羽光世は煙草に火をつけ、「慌てるな。まだ、その時じゃない」と吐き捨てた。

「兄貴、まだ意地張ってんのかよ。聞いたぞ。銀行が返済を催促してきてるって。資金繰りは完全に切れて、上場も失敗。時価総額が一晩で七千億も吹っ飛んだ。株主なんて、丹羽グループの最後の血の一滴まで吸い尽くしたい顔してる」

丹羽南はカードを一枚取り出し、気前よく差し出す。

「ここに大した額じゃないけど、十億入ってる。とりあえずのつなぎに使ってくれ」

丹羽光世は薄く笑った。

「やめとけ。その程度じゃ、一日の利息にも足りない。おまえが持ってろ」

「兄貴、少ないとか言うなよ。義姉さん、もうすぐ産まれるんだろ」

丹羽南...

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